ぴろりのくせになまいきだ。

世間に平和はおとずれなぁい

自作キーボードを使っている話

自作キーボードを使い始めてだいたい1か月になったので、今のところの所感をまとめておきます。
あと、前回の記事で書き忘れた点についても少し補足しようと思います。
前回の記事はこちら
piroriblog.hatenablog.com
今回の記事では、専門用語的なものの解説はほぼ端折りますので、なんだそれはと思ったら前回の記事もご参照ください。

良いところ

打鍵速度が上がった

ちゃんとしたデータは取っていないので、個人の主観ですが、タイピング速度は上がったと思います。
これは、エンターキー、スペースキー、バックスペースキー、デリートキーなどを親指で押せる位置に配置していることが一因かと思います。比較的押す頻度の高いキーを中央部に持ってきて、ホームポジションから離れずに打鍵する時間が長くなったことが良かったのだと思います。
わたしの手のサイズはやや大きめなので、親指でややスペースキーが押しにくく、タイピング時は完全に親指が遊んでいたことも関係していそうです。

あと、文字キーでもよく使うものは分離している内側(T列とY列の間)に持ってきたので、これもとても良いです。
具体的には、カッコキー2つ、ハイフンキー、チルダキーを内側に持ってきました。人差し指をちょっと伸ばせば届くので、とても良いです。
このように、キー配置を好き勝手できるのが自作キーボードの強みの一つだと思いました。

また、そもそものタイプミスも減ったように思います。
配列が縦ずれ(カラムスタッガード)なので、各指をホームポジションから真下か真上に移動させれば目的のキーを打鍵できるので、より直感的になったと感じています。
いまさらですが、今回作ったキーボードを使っていて文字キーの配置がちゃんと頭に入った気がします。

さらに、副次的な効果ですが、タイピング時の運指がきれいになりました。
JIS配列(エンターキーがでかい配列)では、薬指でエンターキーを押す癖があったようで、その関係か中指で「O」を押す運指になっていました。
あるときそのことに気づいて、運指を矯正しました。「I」と「O」のミスタイプはそれなりにあったので、直せて良かったと思います。

姿勢が自然になる

別に肩こりに悩まされていたわけではありませんでしたが、明らかに負担は減ったと思います。肩が疲れにくくなりました。少なくとも伸びをする回数は減ったと思います。
分離型にしたので、肩幅に合わせて幅を調整できますし、角度も調整可能です。少しハの字にするくらいがちょうどいいです。
分離型にすることを見越していたのかは記憶にありませんが、パームレストを分離式のものにしておいてよかったです。

押していて楽しい

今回、スイッチはタクタイル感がはっきりしたのものを選んだのですが、カクッと入力されるのが心地よいです。
確かに押した感触があるので、操作している感があって個人的には好みです。リニアには戻れないかもしれません。
おかげさまで仕事にもかかわらずノリノリで楽しく文章を生成しています。
ただ、静音タイプにしたのですが、もうちょっと音が出ても良かったかなあとは思っています。

XDAプロファイルが意外と良い

キーキャップを選ぶとき、結構悩んだのですが、XDAにして正解だったと思います。
キー配置は色々いじるだろうと思ってフラットのものにしたのですが、XDAは上部の面積が広く、多少中心からずれてもきちんと押せるので不快感が少ないです。
Cherryプロファイルで少し気になっていたのが、キーの側面(特に手前の面)に触ってしまうことだったので、それが全くないのは良かった点です。
フラットプロファイルとしてDSAプロファイルもありますが、結構上部の面積が狭い印象があるので、Cherryプロファイルと同様の気持ち悪さは解消されていなかったのではないかとも思います。
また、上部が球状に少しくぼんでいて、キーのエッジがあまり立っていないので、引っ掛かりもなく快適です。

気づいたこと

通常の配列ってやはり非合理では?

通常は列方向にずれた配列(ロウスタッガード)ですが、お持ちのキーボードをご覧ください。
Z行とA行はキーが半分だけずれていると思いますが、A行とQ行は1/4行ずれていると思います。
これは、タイプライターの構造に由来するものらしい[要出典]のですが、行によってずれ量が異なっていることはお分かりいただけたと思います。
ロウスタッガードにしてから気づいたのは、これのせいでちゃんとキー配置が頭に入っていなかったのでは? ということです。
特に半分もずれていると、何が何の下にあるかという対応関係になっておらず、どの指でどのキーを押すかという対応関係がつかみにくいと感じます。
もう物理的な制限もなくなって久しいのだから、格子状に並んだキーボードが一般的に売られていてもいいんじゃないかと思ったりもします。

別にUS配列でいいじゃん

最初はPC側にJIS配列のキーボードとして認識させていました。
しかし、記号類の印字と出力が一致しないのはやっぱり気持ち悪いと思い、US配列として認識させて使うことにしました。
しばらくたちますが、特に支障がないことに気づきました。「無変換」キー、「変換」キーはないことになっているので反応しませんが、もともと使っていなかったのであまり違和感がありません。
もし、通常の配列のキーボードでUS配列を選ぶと、入力モード切替はAlt+‘を押す必要がありますが、高々その程度ではないでしょうか。記号の割り当てはUS配列のほうが合理的だと思うので、気になるのはその程度かと思います。
自作キーボードにしてしまうと、JIS配列とUS配列においてキーの大きさとか配置とかが異なるという概念が消え去るので、そもそも些末な問題かもしれませんが。

分かってきたこと

もしかしてアローキー要らない?

アローキー(矢印キー)は通常1行目に置きますが、実際にこれらのキーを押そうとすると、かなり指を曲げるか、ホームポジションから手のひらを動かす必要があります。
だったら、自作キーボードのレイヤー機能で「J」「K」「I」「L」あたりにアローキーを割り当ててしまえばいいんじゃないかと思い始めました。

もしかして数字キーも要らない?

数字キーは下から5行目に位置しますが、やや遠いため、指を伸ばして打つか、ホームポジションから離れて打つことになります。
だったら、自作キーボードのレイヤー機能で……(略)
そもそもファンクションキーをレイヤーキーで別のキーに割り当てても違和感がないことは体験済みなので、数字キーもそうすることに特段抵抗を感じなくなってきています。
そうなると、いわゆる40 %サイズ(数字行なし)でもいいんじゃないかと思い始めました。
まだ沼の住人ではないと思っていましたが、もしかしたらもうどっぷりかもしれません……

もしかしてやや親指は遠い?

前回の記事の写真を参照していただきたいのですが、Ergodashの親指キーは、結構内側にせり出しています。
もちろん最も内側のキーも全然押せるのですが、わたしの場合はやや意識して伸ばす形となり、少し手が緊張した状態となります。
逆に、親指はその構造上、簡単に小指側に動かせます。なんなら、だいたい薬指の列のキーまで無理なく押せます。
そうすると、親指用のキーは単に各行の下に配置されていればよいのかもしれないと思いました。
格子状の配列(オーソリニア)も、それはそれで悪くないのかもしれないと思い始めました。

このキー親指で押せなくない?(9/6追記)


このキー、相当意識しないと親指で押せません。
結局人差し指で押しています。
親指にいっぱい割り当てられるのはいいことだと思いましたが、親指は思ったより器用に動かないことが分かってきました。より具体的にいうならば、親指の付け根を支点に動かせはするけど、曲げる動作でキーを押すのは簡単ではないということです。ほかの指に比べて関節が少ないので、当たり前といえば当たり前ですが。

キースイッチは取り外し可能なほうが良かったかも

今回はキースイッチをすべて基板にはんだ付けしてしまったので、はんだを温めない限りはキースイッチの交換ができません。
最初はまあいいかと思ったのですが、一部のスイッチがおかしくなったとき、ほかのスイッチを試したい、という要望が発生した場合は非常に面倒です。
また、打鍵感向上、静音化のために基板とトッププレートとの間に何かを挟みたいという改造も現実的ではありません。
そうすると、比較的気軽に取り外せるようになっているほうが精神衛生上よろしいなあと思いました。

光ったら光ったで楽しかったかも

あんまりLEDに魅力を感じていなかったのですが、七色に光るのは楽しいかもしれないと思い始めました。
気分の問題かもしれないし、打鍵時は手元をほぼ見ないのは確かですが、楽しいのは大事なことです。
結構はんだごての熱でLEDモジュールがやられるという話を見たので、あんまり興味もないし光るようにはしなかったのですが、次に何か作るとしたら、光るやつにチャレンジしたいと思います。

試したいこと

ところでほかのプロファイルはどうなんだろう

XDAプロファイルが好感触なのは良かったのですが、ほかのプロファイルも気になります。
キーキャップ上面の面積が広いことは個人的に外せないとすると、MDAプロファイルあたりが好みかもしれないと思いました。
世の中には他の派生プロファイルも存在しているようで、SAよりもちょっと低いMSA*1、YSA*2や、Cherry+XDAに近いらしいXVX(?)なるもの*3も存在しているようです。
沼は深いですね。

ところでほかのスイッチはどうなんだろう

前回の記事にも書いたように、スイッチはかなり悩みました。
悩んだ末に選ばなかったスイッチはどんな感じなんだろうということを思うと、夜も眠れません。遊舎工房さんのサイト*4などを夜な夜な見ては、あれもこれもよさそうだなと思っています。

ところでほかのキーボードはどうなんだろう

いざ変な配列のキーボードを使ってみても、通常の配列のキーボードも普通に使えます(個人の感想です)。この文章はラップトップのキーボードで打っていますが、そこまでの違和感はありません。むしろ運指がきれいになったので、以前よりタイプミスが少ないくらいです。
そうすると、他のキーボードであってもそこまで問題なく使えることが予想されるため、ほかのやつも使ってみたくなります。
また、40 %サイズでもいいんじゃないかと思い始めたため、結構選択肢が広がっています。

わたしにとってキーボードは商売道具的な意味合いもあり、仕事の間はかなりの割合で触っているので、ちょっとこだわりたい気持ちがあります。なので、2つ目を作っていたら生暖かい目で見守ってください。

などと前回書いていましたが、生暖かい目で見守る準備をお願いしておいた方が良いかもしれません。

前回記事からの補足

予算は?

通常通りの用途に使えるものだとすると、だいたい2~3万のレンジになると思います。
内訳とすると、だいたいの目安ですが、以下の通りです。

  • キット:1~2万
  • キースイッチ:3000~10000
  • キーキャップ:2000~15000
  • その他部品:1000~5000

これに加えて、はんだごてなどの道具を買う場合はもうちょっとしますね。
あんまり気にしていなかったのですが、冷静になってみるとまあまあしますね。
テンキーとか、マクロパッド(例えばショートカット用の4~10キー程度のもの)であればだいぶ安くなりますので、気になった方はそちらから入るのが良いかもしれません。
作ってみたい方は、こちらが詳しいのでご参照ください(手招き)。
shop.yushakobo.jp

ちょっとしたこだわり

人によっては、組み立てる際に基板の縁を油性ペンで塗ってしまうらしいです。
基板は確かに黒であることが多く、ガラスエポキシ基板の切断面は白いので、塗ってしまえということらしいです。確かに統一感は出るので、やっても良いかなあと思いました。また、同時に心臓部であるところのPro Micro基板の側面も塗ってしまう人がいるらしいです。確かにそれはそれでありかもしれないとは思いました。
また、打鍵音向上のために、基板とトッププレート、基板とボトムプレートとの間に何か吸音性のものを挟む改造をする人もいるようです。一理あるなあと思います。
これらの行為は、組み立て前にやった方が楽なので、補足として記載しておきました。


ということで今回は以上です。
思ったよりも感触がいいので、「自作キーボードはいいぞ」おじさんになりつつありますが、仕事柄キーボードをよく触る人は検討してみてはいかがでしょうか。