ぴろりのくせになまいきだ。

世間に平和はおとずれなぁい

はじめてのてんしょく

なぜ転職しようと思ったのか?ということについては一つ前の記事に書いたので、どういう感じで転職活動をしたのか、ということについて書いておこうと思います。
(前記事「上司は金太郎飴のように出てくる」https://piroriblog.hatenablog.com/entry/2020/10/20/192751)

最初に言っておきますが、ちょっと危ない橋を渡ったり特殊な制度があったりと、セオリーから外れることが多いので参考にしないでください!
でも少しは参考になると信じて書いております。

●転職活動を始めた時期
●実際の転職活動の進み方
●登録した転職サービス

についてまとめていきます。



●転職活動を始めた時期

転職活動のスタートをどのように定義するかによりますが、転職サイトに登録した時点をタイマースタートとするならば、社会人2年目の春です。
(ちなみに次の職場で働き始めるのは3年目の冬です。)

本格的に履歴書を送りつけたりエージェントに相談したりし始めたのは、3年目のお盆後になります。
これは、働きながら焦らず転職活動を進めていって、冬のボーナスを頂戴してから辞める(具体的には1月に辞めるくらい)、とするとこれくらいのスタートだろう、と思ったからです。
9月で情報収集、10~11月で面接、11月中に内定、12月頭にボーナスを貰ってから退職を宣言、1~2月から新しい職場、というムーブを考えていました。

実際、これくらいのスケジュール感で書いてある転職サイトが多いので、おかしなものではないと思います。

一つ役に立ちそうな情報としては、面接時点から1~2ヶ月先にはうちに来てくれますよね?というふうに言われることが多い、ということです。
ボーナスを貰ってから辞めるとすると、ボーナスの支給日に在籍していないと支給されない会社が多い、ボーナスの査定前に退職を申し出ると減額されることがある、という点を鑑みると、逆算して11月くらいに内定をゲットするというムーブが賢いです。

しかしながら、後述しますが、実際にはかなりこれと違った形で進みました。
(9月に内定があったり、10月に現在の内定先が決まっていたり、9月に退職を宣言していたり、などなど。)

ということで、実際の手順とかました謎ムーブについて次の項でまとめます。



●実際の転職活動の進み方

基本的には、転職サービスに登録、書類を作成、求人を探して応募、書類選考、面接、という流れになります。
この流れを複数並行して進めていくことになります。
このステップごとにやったことを書いたあと、実際の謎スケジュールについて言及します。


【サイト登録と書類作成】
転職活動をするにあたって、まずやったことは転職サイトに登録したことです。詳しくは後述します。

そしていわゆる履歴書と職務経歴書を書きました。
それらのハウツーに関しては検索すれば色々と出てきますのであえて言及しません。
(ちなみにエージェント曰く、ここまできちんとした職務経歴書を見ることはなかなかない、と褒められました。サイトに書いてあることをそのまま愚直にやるだけで十分良いようです。)

これは完全に余談ですが、独自フォーマットの応募書類を書かせるところはすごくストレスがたまりましたね(人事担当の方お願いします)。
そしてそれが神エクセルだったり手書きだったりすると、そりゃもうブチギレですよ。
「フォーマットの乱れは会社の乱れ」という嫁(未届、転職経験有)の名言(迷言?)も飛び出しましたが、まあそんなところに敢えて行こうとは思わないですよね。


【求人を探す】
転職サイトで条件を設定して求人を探すか、エージェントに求人を紹介してもらいます。
わたしは通勤が電車であったため、行き帰りに転職サイトで探していました。

正直な話、よほどエージェントが有能でない限りは自分で探したほうが早いです。
しかし、オープンになっていない求人もありますので、そういったものはエージェントを経由せざるを得ません。
そして確度が高いかというと、そんなこともなかなかありません。
とはいえ、分野が決まっている場合、その分野専門のエージェントに頼むと良い求人がきます(n=1)。


【書類を送りつけて応募】
いい感じの求人を見つけたら、書類を送りつけて応募します。
当然ですが、まずは書類をもとに選考されることになります。適性試験を課されることもありました。
だいたい1週間くらいで返事が来ることが多かったです。
もし書類選考を通過したら、何回か面接に呼ばれ、そこも通ればめでたく内定となります。

転職サイトからの情報をもとに自分でアプライするパターンと、エージェントに丸投げするパターンがあります。
これまた後述しますが、自分でアプライしたほうが圧倒的に書類選考の通過率が良かったです。

これは、エージェントは多数応募させる傾向がある(n=2)ためと思われます。
少しでも興味があるなら応募だけしてみませんか?という具合です。
まあ自分のスキルと、求人で求められるスキルがマッチしてなかったらそりゃ通りませんよね、という話だと思います。
しかし書類選考とはいえ、落とされるのは気持ちのいいことではありませんので、下手な鉄砲数撃ちゃ当たる作戦はあまり推奨しません。


【面接】
このご時世ですので、オンライン面接のほうが多かったです。
移動時間がないので、1日に複数の面接を受けることも容易でした。
ゆえに有給休暇をあまり消費することもなく、怪しまれずに(?)転職活動を進めることができました。

共通して聞かれたことと言えば、転職をしようと思った理由です。
わたしは、「技術を世の中に送り出し、世の中を豊かにする仕事がしたいが、現職ではそれができそうにない。御社では〇〇という点でそれができると感じた」というロジックで全て押し切りました。
実際に転職する理由の一つではあったので、前向きに転職する理由を主張できたと思います。
後ろ向きだと印象が悪いのは、色々なところで指摘されている通りだと思います。


さて、実際にどのようなスケジュールで進行したか、ということを箇条書きでまとめていきます。

【8月】
・アカ○クエージェントに登録
・(マイ○ビ転職には登録済)
・d○daに登録(エージェントサービスにも登録)
・各種サービスから応募:5社ほど
・書類選考通過:1社

【9月】
・内定獲得:1社、応諾せず(さすがに安すぎた)
・とある分野に特化したエージェントから連絡あり、登録
・各種サービスから応募:10社ほど
・書類選考通過:3社
・現職に退職を宣言(???)
・1次面接通過:2社

【10月】
・書類選考通過:2社
・内定獲得:1社
・2次面接辞退:1社
・内定獲得:2社
・内定応諾:1社
・内定辞退:2社
・引き継ぎ準備

【11月】
・引き継ぎ
・退職手続き
・有給休暇消化


といった具合でした。
正味2ヶ月くらいで転職先自体は決めた形になりますかね。

どう考えても9月に退職を宣言しているのがおかしいです(深い事情があったのですが、かなりリスキーなので真似しないでください)。
そして色々とあって2020年度の上期分のボーナスは貰えました(???)。
普通はもらえないので真似しないでください。1月か2月に退職するムーブが正しいです。

どこを通じてどれだけの応募を行い、勝率はどの程度であったかは次にまとめます。



●登録した転職サービス

前の項でも言及していますが、以下のサービスに登録しました。

・マイ○ビ転職
・アカ○クエージェント
・d○da(エージェントにも登録)
・分野特化エージェント

それぞれ所感を述べていきます。


・マイ○ビ転職

求人の数はd○daと比較するとそれほど多くないと感じました。
ただ、探せばいい求人がたまにある、という印象です。
以前エージェントサービスにも登録はしていましたが、あまりちゃんとした求人を投げてくれるわけではなかったので、今回そちらは使いませんでした。

自分で求人にアプライする場合、求人毎に記入すべき項目が微妙に異なりました。
面倒と言えば面倒なのですが、裏を返すと求人に応じてアピールポイントをカスタマイズして送れるということにもなります。
応募するところをかなり絞ったのもありましたが、勝率は良かったです。

応募:2社
内定:1社
選考辞退:1社


・アカ○クエージェント

学生時代にアカ○クに登録していたので、まあ使ってみるか、と思って登録しました。
電話で面談があって希望する職種や条件を聞かれ、それをもとに求人を紹介してもらう、という形でした。

ただ、正直に言うと、いいなと思える求人が多くなく、やり取りもメールベースで面倒だった、という感想を持ちました。
さらには応募を依頼したけど、応募先から返事がない、というパターンも散見されました。
エージェントがあまり良くなかったのか、それとも求人の方向として一般的なものをあまり持っていなかったのかはわかりませんが、個人的にはおすすめしません。

応募:5社?
書類NG:5社?


・d○da(エージェントにも登録)

求人はたくさんある印象です。
サイト登録した瞬間、エージェントサービスはどうですか!という電話があって、まあついでだしと思ってそちらも登録しておきました。

少し求人の分類が面倒で、「エージェントを通さないと応募できない求人」と「勝手にサイトから応募できる求人」があります。
そして担当のエージェントをつけてもらうと、後者の求人もエージェントを通してくれ、ということになってしまいました。
まあこれがまた面倒で、メールベースでのやり取りは増えるし、電話もかけてくるし(おそらく控えさせることはできるが)、で余計な時間を使わされた感は否めませんでした。

そしてシステム上、サイトに登録した情報がほぼそのまま応募先に飛んでいくので、マイ○ビ転職と違って応募自体は気楽なのですが、毎回サイトに登録してある文章をカスタマイズしてから送ることになります。
カスタマイズをサボり気味で送ったからかもしれませんが、かなり勝率は悪かったです。

エージェントサービスに関しては"not for me"と感じただけなので、悪いことばかりではないと思います。
頼めば応募書類の添削もしてくれるでしょうし(お願いしなかった)、面接のアドバイスもしてくれるでしょうし(お願いしなかった)、面接後のヒアリングと応募先へのフォローもしてくれました(効果のほどは不明)。
面接後に応募先からのフィードバックをしてくれましたが、個人的には不要でした。

個人的にはそこまでおすすめしませんが、初めてで不安、という人はいいのかもしれません。

応募:10社?
書類NG:9社?
内定:1社


・分野特化エージェント

d○daに登録していて、スカウトサービスをオンにしておくと企業やその他エージェントから連絡が来ることがあります(マイ○ビでもよく来ます)。
その中に、希望職種に入れておいた分野に特化したエージェントからの連絡がありました。

それじゃあお願いします、ということで求人を紹介してもらいました。
そのエージェントが良かったというのはあるかもしれませんが、この業界ならここがいいよ、とピンポイントで紹介してもらったのもあったし、かなり具体的にアドバイスを貰えたので非常に助かりました。

目指す業界が決まっているのであれば、分野に特化したエージェントを利用するのは手っ取り早いと感じました。

応募:2社
内定:2社


今回の転職活動を振り返って、もしまた転職するのであれば、次のようなムーブを取ろうと思います。

1. 転職したい職種を決めておき、転職サイトに登録する
2. スカウトを待ちながら、自分でも分野に特化したエージェントを探す
3. 分野に特化したエージェントに求人を紹介してもらう
4. あとは自分でなんとかする

つまり、ある程度転職先のイメージが固まっているのであれば、その分野に強いエージェントを利用するのがよいと思いました。

今回は様々な分野を見ながらだったので回り道が多かったのですが、ある程度歳を重ねてやりたいこととできることが明確になってくれば、求人を探すフェイズで悩まなくなると思いました。
あとは条件だけになりますので。



ということで、あまり参考にならないかと思いますが、転職活動についてまとめておきました。

個人的には、転職活動は自分のやりたいことやキャリアパスを見直す良いきっかけになりましたし、色々な人と話すことができていい刺激をもらいました。

またするかは別として、転職活動は楽しかったというのが第一の感想です。
こんなことが言えるのは、比較的すんなり決まったからだと思います。
そのあたりはラッキーだったと感じています。

とはいえ、ラッキーだけでうまくいったとも思ってはいません。
今まで信念を持ってやってきたことがあって、相応のスキルや知識を身に着け、それがある程度は成果に結びついていたことも要因としてあったと思います。
またするかは別として(2回目)、また転職できるように、信念を持って、また頑張っていきたいと思います。

もし何か参考になれば幸いです。
それでは残りも少なくなりましたが休みを謳歌したいと思います。

上司は金太郎飴のように出てくる

実はも何も無いのですが、この夏は転職活動をしていました。
一段落したので、このような記事をしたためています。

正直な話、いつか転職はしようと思っていたのですが、「これ以上この会社にいる意味は無いな」と思うことが重なったのもあって、えいやとしてしまいました。

今回は、転職した理由ついてフォーカスして書こうと思います。
転職活動全体については別にまとめようと思います。


端的に結論だけ言うならば、いわゆるJTBC(ジャパニーズ・トラディショナル・ビック・カンパニー)に自分は合わなかったんだと感じています。
自分の性格的にわかっていたことではありましたが、嫌になるほどではないだろう、という見込みが甘かったようです。

もちろんいいところもありましたが、自分がどんどん腐っていくのが容易に想像できたのでこうした決断になりました。

3行で転職理由をまとめると、

・上司ガチャに当たりがほぼないことを悟った
・頑張るだけ損である人事システムを目の当りにした
・研究開発の部署の役割を全うできていないのがしんどかった

ということになるでしょうか。

では多少長くなりますが、よろしければご覧ください。



そもそもお前はどんなところに勤めているのか?という話ですが、そこそこ大きいメーカーの研究開発職として働いております。

念の為、研究開発職とは何ですか、ということを説明しておくと、少し先に出そうとしている新しい製品や商品を、実際に手を動かして開発する役割となります。
将来どんな世の中になっていく(もしくはしていく)か、その中で自社がビジネスをしていくとしたらどんなところか、それに対して今からしておくべきことは何か、といった形で次の製品や商品を考える仕事も含まれます。
一見すると楽しそうな仕事ですが、泥臭い仕事も多くあります。

少し前にそんな記事を書いたのでそちらもよろしければご覧ください。
(みんな研究職になりたいのか?https://piroriblog.hatenablog.com/entry/2019/10/25/221646)


まず、そこそこ大きな研究開発の部署で2年半働いていて、楽しかったことを何点か書いていきます。

1つ目は、様々なバックグラウンドの人がいることです。

大学に勤めていた人も中にはいて、非常に深い専門性を持っている人もいました。
そんな人と酒でも飲みながら話をするのは刺激的でした。

おかげさまで自分の知識は大きく広がりましたし、自分の専門分野の補強にもなりました。


2つ目は、そこそこちゃんとした測定機器が揃っていたところです。

わたしの畑はどちらかというと分析だったこともあって、楽しく使わせてもらいました。
しかも、幸か不幸かみんな自分でオペレーションしたがらないので、やりますと言うと結構測定させてもらえました。

個人的に思うのは、データは何かしらの測定機器から出てくるわけなので、測定機器を自分で操作してデータを実際に取る、という経験は非常に重要かと思います。
データ取得の実際がわかっていなかったら、人にお願いもできませんし、正しい解釈も難しいと思います。


3つ目は、学会に行きたいと言えばわりと行かせてくれた点です。
何故か上司が行きたがらないので、わたしがよく参加していた、という側面はありましたが。

業務になんとかこじつけて、自分の興味だけで学会にに参加したこともありました。
自分の発表しない学会ほど楽しいものはないなあ、と思いつつ聞いていました。

学会に参加することで、いわゆるマテリアルズ・インフォマティクスの全容は掴めたかなと思います。


4つ目は、これは研究開発の部門に限った話ではないですが、研修の類が充実していたことです。
しかも、研修に参加することは推奨されるので、比較的手を上げやすい環境でした。

聞いたことはあるけどよくわかってない、みたいな分野の話を聞くことができましたし、考え方のアップデートも行えました。


あとは、そこそこ大きい企業なので福利厚生はちゃんとしていました。
謎制度のおかげでなかなかその恩恵にあずかれなかったのですが。

そして給料も技術職としてはまあそれなりでした。



さて、こうして並べてみるとまあ悪くなさそうじゃん、と思えますが、今捻り出して書いた結果がこれです。

実際、面談の際に不意に聞かれた「会社で何か良かったことはありましたか?」という質問に対して、咄嗟に何も出てきませんでした(かなしい)。


では、この先、辛かったもしくは悲しかった点について挙げていきます。



1つ目は、タイトルにもしていますが、上司に恵まれなかったことです。

正確な表現をすれば、「上司に恵まれ続けないことが目に見えている」ことがとても辛いと感じました。

最初の上司は研究職なのに自分のテーマに都合の悪いデータは隠蔽するようなとんでもない人でしたし、次の上司はそもそも議論が成り立つようなレベルではなかったし、というのが直属の上司の感想です。

そして共通していたのが、上から言われたことをやっていればよく、その中身はどうでも良い、そして中身について考えない、という点でした。
研究開発の部署なのにこれです。しかも下手すると給料は自分の倍です。
何度呆れかえったか数え切れません。

3年目ともなれば、ある程度社内にどのような人がいるかは見えてきます。
そして、どこの世代も部署も結局こんな人たちなのです。
逆に、「こんな人たち」でないのは外から来て間もない人ばかりでした。

ああ、この会社である程度の年数を過ごすとこうなるんだな、と思いました。
つまり、この先どの部署でも、どの人が上司になっても、結局こういう人に当たるのだ、ということに気づいてしまいました。

しかし、そういった人たちもある意味では被害者なのかもしれない、と思いました。
会社の雰囲気や教育がそのマニュアル技術者(上からの指示でしか動かず自分で考えないのでそう呼ぶ※)をマニュアル技術者たらしめ、しかもそれが正しいと思って下に伝承していくわけですから、会社のせいであるというのは過言ではないと思います。
しかも、一度そうなってしまえばスキルもないので転職も難しいでしょう。
(※「技術者組織の難しさ」で指摘している https://piroriblog.hatenablog.com/entry/2020/04/04/002341)

その上、残念ながら年の差は変わりませんので、10歳上の人たちは永久に10歳上であり続け、システムの関係上、上司であり続けます。

そして上司の立場になるには10年ほどかかり、その間この上司たちに耐えなければならず、そしてその間にマニュアル技術者に成り下がってしまうと思うと、そんなところに居続けるわけにはいきません。

結構好きな人もいたので多少は後ろ髪を引かれる思いがありましたが、このような運びとなりました。


2つ目は、人事制度が機能していないのを目の当たりにしことです。

よくある職能制度が取られており、こういうことができる人がこのランクね、というように定められていて、ランクに応じて給料が上がっていきます。

この「こういうことができる」というテーブルはもちろん存在しているのですが、実際は年功序列です。きっとJTBCあるあるです。
したがって、ある程度の年数会社にいると、勝手にランクが上がっていってしまいます。
たとえそのランクで「できていなければいけないこと」ができていなくても、です。

しかもそのランクの評定に使われるのは、年一回定めるよくわからねえ目標シートです。
(何故よくわからねえなどという表現をしているかというと、残念ながら1年でやることを全く見通せない(???)ので、半年の見直し時に大幅修正するからです。)
この立てた目標を達成したかかどうかで採点が行われ、ある一定値となれば昇格していくことになります。

で、この目標は当然「上司と相談の上で」決め、採点も上司が行うことになります。
つまり、結局上司の言うことに従うことになります。

そしてそれ以外のことをやることは評価されませんし、それ以外のことで残業するのは許されないそうです。
言わんとすることはわかりますが、研究開発の部署でそんなこと言うんだ、と思ってしまいました。
(15 %ルールって聞いたことないか〜〜?)

もし手っ取り早く昇進したいなら、上司の言うことにすべて従うのが吉です。
そしてそれなりにやっている風を装えばそれでOKです。
研究開発の部署なので結果が出ていなくても問題ありません(???)

そうなってくると、会社でやっていくうえでの最適解は、とにかく上司の言うことに従い、やっているように見せておいてすごくダラダラやる、ということになります。
そしてある程度上になったらほぼ何もせず組織にぶら下がる、というのが最も効率的です。
そんな状態なら、マニュアル技術者が育つのも不思議ではありません。


これは本題から少しそれますが、大手企業で年功序列を廃して評価によって昇給・昇格するようにする、といった動きが見られます[要出典]。

その趣旨には賛同するのですが、問題になるのではないかと睨んでいるのは運用です。

評価によって変動するのはよいのですが、評価は誰がするんですか?という話です。
特に技術者の組織であると、どんなスキルを持っていてどう業務に活かしているか、といった類のことは技術をわかっていないと判断が困難であると言えます。
(これも「技術者組織の難しさ」で指摘している https://piroriblog.hatenablog.com/entry/2020/04/04/002341)

したがって、評価するのはおそらく上司となってくるでしょう。

まず想像に難くないのは、とても上司に依存しそう、ということです。
上司の人間性だったり、上司の力量であったり、上司と部下の相性だったり、と挙げればキリがありません。


評価が上の一存で決まり、給料も決まってしまうのであれば、結局また最適解は上にしっぽを振ることになってしまいます。
そしてやっているように見せる能力が問われる、という事態そのものの解決には至らないように思えてしまいます。

加えて、もし全体の給料を下げたいのであれば、無茶な目標を立てさせるようにすれば評価が低くつくので安くて済む、ということにもなりかねません。


3つ目は、組織として何をやりたいかを見失っていた、という点です。

冒頭でも書きましたが、研究開発の部署は新しいものを生み出して、次のビジネスにしていく、ということがミッションになるはずです。

ここで重要となってくるのは、ビジネスの青写真、もっと言えばそのようなビジネスが成り立つ将来の社会の姿を描くことになると思います。
これをせずに、(特に長期的な)研究開発を行うのは無理があると言わざるを得ません。

これは個人の信条になるのかもしれませんが、特に長期的な研究開発における思考の方向性は、社会的な要請から提供する技術およびサービスを考える方向であるべきであって、決して今ある技術をどう活かすか、という方向であってはならないと思うのです。

確かに今ある技術を活かす、という方向では研究開発費はかからないでしょうが、浅い呼吸を繰り返すばかりで大きなリターンを得ることは難しいと思います。
体力がない、もしくは既にある程度成功していると、ますます目先のことばかりになりがちですが、継続的な成長という観点からは健全ではないと考えます。

この点で、研究開発におけるミッションを組織として見失っていたように思います。
目先のものをどうしよう、と考えるばかりで、社会がどうなっていくのか、もしくは社会をどうしたいか、という視点に乏しく、どんなビジネスになるかという見通しがなかったように思われます。
新しいビジネスを生み出す素地がまるでないように感じました。非常に悲しい話です。

加えて、ゴールがはっきりしないので、開発対象がはっきりせず、そしてよくわからないデータを取る、ということを繰り返していたように思います。
きちんとゴールを設定する重要性は痛感させられました。


4つ目は、開発の手段が科学的でなかった点です。

曲がりなりにもメーカーであれば、科学技術をもって世の中を豊かにしていくことが存在価値になるはずです。
その研究開発部署であれば、科学技術を活かした製品の研究開発が行われているはずです。

しかし内情は、「エモーショナル」な開発が行われており、残念ながら「サイエンテフィカル」ではありませんでした。
科学を取り扱うにも関わらず、です。

どうお気持ち開発だったかというと、まあ色々あったのですが、散見されたのは、データに対して「私はこう思う」と言ってしまうパターンです。
科学者の端くれではあるはずなのですが、考察ではなく感想でした。
そうなってくると、意に反するデータを弾く、ということを平気でやるわけです。

もう一つ、これに関連してしんどかったのは、「やってみなければわからない」と言い始める人たちでした。

原理から考えると、その対策は効果がない、もしくは逆効果である、ということを説明したうえで、なのでこっちをやりましょう、と言っても「やってみなければわからない」、と言われるのです。

確かに、まだ誰もやっていないことではあるので、「やってみなければわからない」、という主張には反論のしようがありません。
しかし、うまくいく可能性が低いことをわざわざやることに意味がどれほどあるでしょうか。
エビデンスに基づいた、もしくは種々の分析から、有効と考えられる施策から実行すべき、とわたしは考えます。
それが「サイエンテフィカル」であるとわたしは信じてやみません。

それで余計な仕事が増え、残業させられるのが非常に苦痛でした。
わたしは誰もいない部屋で何度「ほら見たことか」と嘆いたかわかりません。

また、当然と言ってしまうと悲しいですが、絨毯爆撃的なこともまあ散見されました。
下手な鉄砲数撃ちゃ当たる、ですが、別名は思考停止です。
せめて人間でなく機械にやらせてほしいものです。
まあ、機械のアルゴリズムのほうが優れていると思いますが。


これらの理由をもう1度並べてみます。
・上司に恵まれず、これから恵まれることもないと悟った
・人事制度が不適当で、サボり得だった
・研究開発の組織としてやるべきことがなされていなかった
・お気持ちで研究開発がされていた

こうして並べてみると、そこそこ大きい企業だとそういうところあるよね、というように思えます。
つまりは、そこそこ大きい企業、つまりはJTBCと私の考え方が相容れなかった、ということになると思います。

別に今の会社が特別悪かった、ということでないのだと思います。
ここに居続けて、マニュアル技術者に成り下がるのはまっぴらごめんだ、と感じてしまっただけなのです。


このご時世、大きな会社でもいつコケるとも限りませんから、マニュアル技術者になっていては次の職を探すこともままならないでしょう。
そしてマニュアル技術者は、そもそも社会への還元が全くできないと言っても過言ではないでしょう。

個人の力をつけ、〇〇ができる技術者(〇〇には複数分野が入り、融合できるとなお強い)、という形にしておくべき時代になっているのだと思います。
そして、〇〇ができるならうちの会社でこれをやって欲しい、という形で採用がなされるべきである、とも思っています。(いわゆるジョブ型にあたるでしょうか。)

このコロナ禍で、この考えが強くなったのが、転職活動に踏み切った一番のきっかけかもしれない、と今振り返って思います。

〇〇にきちんとしたスキルが入れられるところで働くことになったので、つよいエンジニアになっていければと思います。



転職活動全体についてはまた別途まとめようと思いますが、このご時世ですんなり転職先が決まったのは幸運だったと思います。
チャンスを活かし、楽しく仕事ができるようにしていこうと思います。
勉強することが多く、決して楽な仕事でないのですが、新たな分野を楽しく開拓できればと考えています。


辞めることを宣言したあとはとても晴れやかな気持ちで働ける、という職歴が5つくらいある人の言葉はその通りだったなあと思いながら、今はにこやかに引き継ぎをしています。
決して人にすすめられるものではありませんが、一度会社を辞めてみるのも経験として面白いことなのかもしれない、と思います。

何かご質問等々ありましたら、何かしらの手段でご連絡いただければ幸いです。

決してこの記事が、新たな職場もやってられねえ!というフラグにならないことを祈りつつ筆を置きたいと思います。

お前らはそれで評価される

7月の終わりにKindle端末を買っておりました。
prime会員なら思ったより多くのビジネス書が読めるじゃん、ということに気づき、暇な時間によく読んでいます。

Kindle端末はいいぞ、という話は別の機会に譲るとして、今回はビジネス書にもよくある「資料作成」に関することについて書こうと思います。


そもそも、資料作成という類のカテゴリで、なぜそこそこの本があるかというと、アウトプットは資料であることが多く、これによって評価されるから、というのが答えなんじゃないかと思っています。

どのような仕事であっても、人に何かを伝えようと思った場合、口頭での場合もありますが、そうでない場合は何かしらの資料を伴うでしょう。
論文、報告書、提案書、企画書、もしくはプレゼンテーション用のスライドなどが、ある意味での資料にあたると考えています。

これらの出来栄えが良ければ、他の人に正確に情報を伝達することができ、それぞれの目的を達成できるでしょう。
良い資料によって目的を達成できれば、他の人を動かす結果に繋がり、最終的に評価されることになるでしょう。

一方で、出来栄えが悪ければ、資料の目的は達成されず、結果もなく、評価されないことになるでしょう。

わたしの学生時代のボスの言葉を借りれば、

(学会に向けた研究室内の発表練習中に)

『10ある結果を7に見せた場合と、7の結果を7に見せた場合の評価は同じ。でっち上げはもちろんだめだが、自分の成果を最大に見せることは大切。お前らはそれで評価される。』

とおっしゃっていたと記憶しています。

ただ、そのあとに
『まずは成果を大きくしないといけないんだけどな!』

とはおっしゃっていたような気もしますが。



アウトプットとしての資料をいか良いものにするか、というのは、成果がきちんとあるという大前提はありますが、手っ取り早く評価を上げる方法である、と考えられます。

繰り返しになりますが、この理由で、資料作成に関するビジネス書がそこそこ存在しているのだと思います。


とはいえ、「成果が10あったとして、伝達のステップでの係数が大きくなるだけでしょ?成果をまずあげるのが大事よね?」という主張はあると思います。
先ほどのボスの話と同じです。

これに対しては、この係数が0.7とかのうちはいいのですが、0.1とか場合によってはさらにもう一桁下ということがあると認識しており、係数は大切です、と反論します。

この認識は、わたしが実際にそうだった、というところから来ています。


学部4年生の初めの方のイベントで、『雑誌会』なるものがありました。
各々配属された研究室にて、自分の研究に関係する論文を探し、(もしくは渡され)、その内容についてスライドを用いて10分程度で教授達に紹介せよ、というお題目です。
(論文を渡されてしまうのも問題だとは思いますが、今回は言及しません。)

まず、専門的で、かつボリューミーな英語の文章を読んで理解するのは大変なことです。
さらに、その内容を10分にまとめないといけませんから、論文の内容に対する深い理解と、高いスライド作りのスキルが必要です。

まあ大抵の場合、学部4年生がいきなり上手にできるわけもなく、先輩や先生に直してもらうわけです。
そのために、研究室内で発表練習をすることが多いです。
わたしも例に漏れず、発表練習の際、先生には大変ご丁寧に直していただきました(ありがとうございます)。

最初に作って発表練習をした資料は、ある意味の戒めとして保存してあります。
この資料を今見返すと、「言いたいことはかろうじてわからんでもないが一発で理解するのは無理」という状態です。

つまり、論文の内容はある程度理解していて、それがスライドに表現されている(表現しようとした)が、全く理解されない、という仕上がりです。

その紹介した論文の内容はきちんとしたものでしたので(今でも好きな論文のうちの一つです)、この場合の表現すべき成果はきちんとしています。
しかしながら、繰り返しになりますが、資料がゴミカスであるため全く伝わらない、という状態でした。

まさに、伝達のステップにおける係数が0に近くなってしまっている状態です。

これでは、せっかくの論文も、わたしの資料がゴミカスなせいで、面白くない内容に見えてしまいます。


これをそのまま仕事に適用すると、素晴らしい成果なのに、良いアイデアなのに、資料が適切でないが故にそれが評価されない、ということになります。

当然先立つものは必要ですが、この「人に伝達するステップで損をしない」、というのは非常に重要であると言えます。
評価をするのは自分以外の人ですから、伝達のステップは必ず織り込まれるでしょう。
ここで伝達する際の係数が0に近くなってしまったら、本当に骨折り損です。

ですから、他人に内容を適切に伝達するための「資料作成」に関するビジネス書がそこそこあるのだと思います(3回目)。



ということで、Kindle端末で資料作成に関する本も読んでいるのですが、よく内容を咀嚼してみると、「まあそれは当たり前だよね」といった具合のことが多く書かれています。

すごく雑にまとめてしまえば、「伝わる資料は、資料の目的がはっきりしていて、見る側に対する配慮がある」といった趣旨かなと思います。

本当に見る側に対する配慮を徹底しようと思うと、かなりの時間を費やすことになるのですが、そこそこでよいのであれば、ちょっとした心がけやひと工夫程度であることが多いように思います。
(文字の大きさ、文字や図表の並べ方、適切な文章の分割、効果的な図表の作り方、等)

しかしそれを毎回きちんと実践して資料を作成することはなかなか難しい、ということにはなるのでしょう。

とはいえ、我々は資料の出来で評価されてしまうわけですから、多少の手間はかけても良いのではないでしょうか。

その数秒、数分で評価が良くなり、もらえるお金が増える可能性があるのなら、やっておくに越したことはない、と思います。