ぴろりのくせになまいきだ。

世間に平和はおとずれなぁい

お前らはそれで評価される

7月の終わりにKindle端末を買っておりました。
prime会員なら思ったより多くのビジネス書が読めるじゃん、ということに気づき、暇な時間によく読んでいます。

Kindle端末はいいぞ、という話は別の機会に譲るとして、今回はビジネス書にもよくある「資料作成」に関することについて書こうと思います。


そもそも、資料作成という類のカテゴリで、なぜそこそこの本があるかというと、アウトプットは資料であることが多く、これによって評価されるから、というのが答えなんじゃないかと思っています。

どのような仕事であっても、人に何かを伝えようと思った場合、口頭での場合もありますが、そうでない場合は何かしらの資料を伴うでしょう。
論文、報告書、提案書、企画書、もしくはプレゼンテーション用のスライドなどが、ある意味での資料にあたると考えています。

これらの出来栄えが良ければ、他の人に正確に情報を伝達することができ、それぞれの目的を達成できるでしょう。
良い資料によって目的を達成できれば、他の人を動かす結果に繋がり、最終的に評価されることになるでしょう。

一方で、出来栄えが悪ければ、資料の目的は達成されず、結果もなく、評価されないことになるでしょう。

わたしの学生時代のボスの言葉を借りれば、

(学会に向けた研究室内の発表練習中に)

『10ある結果を7に見せた場合と、7の結果を7に見せた場合の評価は同じ。でっち上げはもちろんだめだが、自分の成果を最大に見せることは大切。お前らはそれで評価される。』

とおっしゃっていたと記憶しています。

ただ、そのあとに
『まずは成果を大きくしないといけないんだけどな!』

とはおっしゃっていたような気もしますが。



アウトプットとしての資料をいか良いものにするか、というのは、成果がきちんとあるという大前提はありますが、手っ取り早く評価を上げる方法である、と考えられます。

繰り返しになりますが、この理由で、資料作成に関するビジネス書がそこそこ存在しているのだと思います。


とはいえ、「成果が10あったとして、伝達のステップでの係数が大きくなるだけでしょ?成果をまずあげるのが大事よね?」という主張はあると思います。
先ほどのボスの話と同じです。

これに対しては、この係数が0.7とかのうちはいいのですが、0.1とか場合によってはさらにもう一桁下ということがあると認識しており、係数は大切です、と反論します。

この認識は、わたしが実際にそうだった、というところから来ています。


学部4年生の初めの方のイベントで、『雑誌会』なるものがありました。
各々配属された研究室にて、自分の研究に関係する論文を探し、(もしくは渡され)、その内容についてスライドを用いて10分程度で教授達に紹介せよ、というお題目です。
(論文を渡されてしまうのも問題だとは思いますが、今回は言及しません。)

まず、専門的で、かつボリューミーな英語の文章を読んで理解するのは大変なことです。
さらに、その内容を10分にまとめないといけませんから、論文の内容に対する深い理解と、高いスライド作りのスキルが必要です。

まあ大抵の場合、学部4年生がいきなり上手にできるわけもなく、先輩や先生に直してもらうわけです。
そのために、研究室内で発表練習をすることが多いです。
わたしも例に漏れず、発表練習の際、先生には大変ご丁寧に直していただきました(ありがとうございます)。

最初に作って発表練習をした資料は、ある意味の戒めとして保存してあります。
この資料を今見返すと、「言いたいことはかろうじてわからんでもないが一発で理解するのは無理」という状態です。

つまり、論文の内容はある程度理解していて、それがスライドに表現されている(表現しようとした)が、全く理解されない、という仕上がりです。

その紹介した論文の内容はきちんとしたものでしたので(今でも好きな論文のうちの一つです)、この場合の表現すべき成果はきちんとしています。
しかしながら、繰り返しになりますが、資料がゴミカスであるため全く伝わらない、という状態でした。

まさに、伝達のステップにおける係数が0に近くなってしまっている状態です。

これでは、せっかくの論文も、わたしの資料がゴミカスなせいで、面白くない内容に見えてしまいます。


これをそのまま仕事に適用すると、素晴らしい成果なのに、良いアイデアなのに、資料が適切でないが故にそれが評価されない、ということになります。

当然先立つものは必要ですが、この「人に伝達するステップで損をしない」、というのは非常に重要であると言えます。
評価をするのは自分以外の人ですから、伝達のステップは必ず織り込まれるでしょう。
ここで伝達する際の係数が0に近くなってしまったら、本当に骨折り損です。

ですから、他人に内容を適切に伝達するための「資料作成」に関するビジネス書がそこそこあるのだと思います(3回目)。



ということで、Kindle端末で資料作成に関する本も読んでいるのですが、よく内容を咀嚼してみると、「まあそれは当たり前だよね」といった具合のことが多く書かれています。

すごく雑にまとめてしまえば、「伝わる資料は、資料の目的がはっきりしていて、見る側に対する配慮がある」といった趣旨かなと思います。

本当に見る側に対する配慮を徹底しようと思うと、かなりの時間を費やすことになるのですが、そこそこでよいのであれば、ちょっとした心がけやひと工夫程度であることが多いように思います。
(文字の大きさ、文字や図表の並べ方、適切な文章の分割、効果的な図表の作り方、等)

しかしそれを毎回きちんと実践して資料を作成することはなかなか難しい、ということにはなるのでしょう。

とはいえ、我々は資料の出来で評価されてしまうわけですから、多少の手間はかけても良いのではないでしょうか。

その数秒、数分で評価が良くなり、もらえるお金が増える可能性があるのなら、やっておくに越したことはない、と思います。