ぴろりのくせになまいきだ。

世間に平和はおとずれなぁい

バドミントンの戦術について

バドミントンにおいて、わたしが基礎として考えている考え方について書いてみようと思います。



バドミントンは、わりと戦術と駆け引きが多彩なスポーツだと思っています。

最も大きい要因として考えているのは、ショットの多様性です。
シャトルがとても軽く、ラケットも非常に軽いため、小さな動き・力でシャトルを飛ばすことができます。
指でちょんと押してやるくらいの気持ちでもわりと飛んでいきます。

ゆえに追い込まれた体勢からでもシャトルを飛ばせますし、さらにはフェイントが簡単にできます。
相手が打ってシャトルが飛び始めるまでどこに飛んでくるのかわからない、なんてこともあります。


もう一つの要因としては、初速は球技一といってもシャトルがめっちゃ減速することです。
手元に飛んでくるまで400 km/hってことはないんですが、それでもそれなりの速度でスマッシュは飛んできます。
しかしゆったり打とうと思えば、めっちゃゆったりした軌道と速度で打てますし、手前に落とすのも容易です。

つまり緩急がつけられる、ということです。


二つの要因を合わせると、色々な打ち方から色々な速度で色々な場所に飛んでくることになります。

そんなもん飛んできてから全部対応できるわけないので、予備動作をよくよく見ることになります。
格ゲーとかアクションゲーの基本ですね。

ゲームで予備動作が同じなのに違うものが飛んでくるとめっちゃ困りますが、バドミントンだとわりとそれができます。
(ちなみにわたしは性格が悪いのでその類のフェイントが得意です)


とまあそういうスポーツなので、どう点をとっていくかというのはわりと何でもありです。

ここからが個性出るところです。

積極的に攻撃的なショットを打つ人もいれば、ひたすら粘ってチャンスを待つ人、カウンターを狙う人、相手をひたすら惑わす人、などなどです。

それぞれの性格もありますし、得意なショットもそれぞれなので、そういうところに着目して試合を見るのも面白いものです。



ここからが本題ですが、わたしが何を考えているかいうと、いかに「相手の時間を奪い、自分の時間を作るか」ということです。

バドミントンというと、スマッシュが派手で見ていてわかりやすいのですが、わたしはスマッシュを「決め球」とは考えていません。
あくまでも崩しのショットと捉えています。

スマッシュのように速いショットは、相手に到達するまでの時間が短くなります。
その間に相手が十分な体勢を取れないのであれば、速いショットは有効打となります。
これは相手が構えるまでの「時間を奪っている」ことになります。

また、早いタイミングで打つことでも同様に相手の時間を奪うことができます。

時間を奪うことに成功すると、相手は十分な体勢ではありませんので、打てるショットやコースが制限されます。
そうすると、こちらは予想がしやすくなるので更に早いタイミングで打つことができ、最終的には崩し切って点が取れる、という筋書きです(体幹ゲージを削るというシステムの隻狼に近い何かを感じますね)。


わたしはフェイントをよく使いますが、これも相手の時間を奪うためのものであると考えています。
予備動作通りのショットを打ってしまうと、相手に対してそのショットに対応するだけの時間を与えることになります。
フェイントを入れることによって、対応を遅らせる、つまり時間を奪う、もしくは体勢を少し崩して次のショットを予測することで時間を奪うための起点をつくることができると考えています。


しかし相手もそれは同じことをやってきます。
逆に相手からこちらの時間が奪われそうになったときの対策を考えねばなりません。

時間を奪うべく速いショットを打ってきたならこちらも速く(早く)返せばいい、というのは一つの考え方ですが、前述したように速いショットは相手に届くまでの時間が短くなります。
速いショットが相手に予想されていた場合、さらに自分の時間がなくなります。
速いショットは自分の体勢を整える時間をも犠牲にしてしまう可能性があります。

実際にトップ選手の試合で、スマッシュを飛び込みでレシーブ(つまり早いタイミングで返球)され、スマッシュを打った側が飛び込まないと間に合わないような状態になった、ということもあります。

速いショットは諸刃の剣だと言えます。


ではわたしはどうするかというと、体勢を崩されかねないと思った場合は高く後ろに上げてしまうか、ゆったりとしたショットで繋ぎます。
シャトルは空気抵抗でゆっくり落ちてきますので、その間に次のショットを待つだけの時間ができ、体勢も整えることができます。
そうやって「自分の時間を作る」わけです。


じゃあカウンター狙いみたいなのが強いんじゃないかと思われるかもしれませんが、バドミントンにおいても攻撃は最大の防御、というのは一理あります。
速いショットをうまく返そうと思うと、速いぶんタイミングがシビアとなりますので、防御側のミスがどうしても多くなるからです。

バドミントンの場合、ダブルスだとこの傾向が顕著です。
卓球のように交互に打たなければならないわけではありませんので、シャトルを打っていないもう一人は、パートナーが打った攻撃のショットから返球を予想をする十分な時間があります。

つまり、二人がかりで一人の時間を奪うことができるのです。
ちょっとした隙やちょっと甘い球でも、すぐに次の速い(早い)攻撃をされてしまい、なかなかそれを凌ぐのが難しくなります。

特にスマッシュの速い男子ダブルスでは攻撃されることを嫌うので、ひたすらスマッシュを打たせないような球回しをすることが多く、いかに相手に上げさせて攻撃するか、という駆け引きも見どころです。


話が少し逸れましたが、相手の時間を奪えそうなときは速いショットで攻撃し、自分の時間が奪われそうなときは時間を作る、というのがわたしのスタンスです。
この攻撃と防御のバランスをどうするか、いつ攻めていつ守るのか、というところがなかなか難しいのですが、そういった駆け引きの多彩さがバドミントンの醍醐味だと感じています。



バドミントンの試合を見る際は、そんな話もあったなあと少し意識していただけるとより楽しめるかと思います。
スマッシュばかりに目が行きがちですが、スマッシュを打つまでの過程や防御側の粘り、体勢のマネジメント、といったところにこそ見る楽しみがあると思っております。

皆さんのバドミントン観戦がより楽しいものになれば幸いです。
プレイヤーが増えればなお嬉しいですが。