ぴろりのくせになまいきだ。

世間に平和はおとずれなぁい

より良い学会ポスターの作り方

学会で発表するときのポスターってどうやって作るのというお話です。

実はわたくし、ポスター賞を2回もらったことがあります。
作り方の勉強はしましたし、相当こだわって作ったので、してやったりとは思っていました。

そのときのポスター作成手順や気をつけていたことについて、防備録も兼ねて書いてみようと思います。


まずポスターを作る前に4つのことを以下の順番で決めます。

1. メッセージ(結論)
2. モチベーション(目的)
3. バックグラウンド
4. リザルト

です。


まず、1番目のメッセージを決める手順です。

最初に、このへんを発表するかな〜と思いを巡らせます。
そして発表する学会を鑑みて興味を持ってもらえそうなトピックを決めます。
どんな人が来るかがわかっていれば選びやすいですね。

次に、決めたトピックで何をメインに発表するかを考えます。
「この結果すごいでしょ〜」とか、「見てよこの観察結果」とか、「なんかよくわからんけど上手くいった」とか、「頑張ったけどここまでわかってここまでがよくわらん」とかです。

だいたいこの段階でタイトルを決めて申し込みをしたり予稿を書いたりすることになると思います。

ここまでは発表する上でおそらく全員がやることだと思います。
何を発表するかということについては決まっているように思われるかもしれませんが、ポスターを作るうえで、わたしはもう一段階必要だと考えています。
それが「メッセージを決める」ことです。

トピックを決め、メインに話すデータなども決まっていれば発表はできますが、それだけだと「データを並べただけ」の発表になりがちです。
「で?何が言いたかったの?」となってしまうわけです。

結果からもう一歩踏み込んだ『メッセージ』(≒結論)とすることで、なるほどわかった、となってもらえるわけです。


2番目に決めることは、決めた『メッセージ』に対応する動機づけを決めることです。
目的に対応するものになると思います。
モチベーションとメッセージさえあれば基本的な発表の話の流れは成立しますので、メッセージの次に重要かと思います。

モチベーションはメッセージに一対一で対応するものであるべきだと思います。
現状の問題点に対する解決手法について少し触れられているとなお良いです。
よりメッセージを話しやすくなると思います。


3番目は、モチベーションに至るまでのバックグラウンドを決めることです。
モチベーションとメッセージに加えてバックグラウンドまであれば話はほぼ完結します。

モチベーションに解決手法を盛り込むと良いと先述しましたが、それに対応するバックグラウンドであるとわかりやすくなると思います。
専門外の人が多く聞きに来ることがわかっている場合は、それに対応できる少し広い視点からのバックグラウンドが必要になります。


4番目は、モチベーションを実現し、メッセージに繋がる『必要十分な結果』を決めることです。
関係ないことが紙面にあると、話がと印象が脱線していきますので、それ以外の結果は極力削ぎ落とします。
この作業はポスターのレイアウトを考えながらになることもあります。

リザルトとは言っていますが、実験方法やディスカッションの項も含みます。
実験方法が至って普通であったり、それほど重要でなかったりする場合は、思い切って切ってしまってもいいかもしれません。


以上で、先述した4つがだいたい決まります。

1. メッセージ(結論)
2. モチベーション(目的)
3. バックグラウンド
4. リザルト


それではいよいよレイアウトを考えていきます。


まずレイアウト例をいくつかお話します。

個人的なおすすめは、サマリーをタイトルの下に持ってくるレイアウトです。結論を端的に表現する図があるとなお良いです。
理由はよく目について、かつ、一目で言わんとすることがわかるからです。
ポスター会場ではだいたい下のほうが見えない、もしくは見にくいことが多いので、いっそのこと大事なことは上にもってきてしまえ、という思想でもあります。

さらに、よく「ざっくり説明していただけますか?」というように話しかけられますが、そういうときにこの形式は非常に説明がしやすいです。

ポスター発表を聞きに来る人は、聞きたいところがあったり、自分の困りごとをディスカッションしてみたかったり、粛清してやろうという気持ちがあったりするので、自分がしゃべるのは「わたしのいいたいことはこれです!細かいところはこんな感じです!」というくらいでいいと思っています。

ポスター発表は貴重なディスカッションの場だと捉えているので、自分の発表内容をしゃべるのは最小限でいいと個人的には考えています。


話が逸れましたが、その他のレイアウト例としては、上から背景、目的、実験方法、結果、結論(またはまとめ)と流れてくるオーソドックスなタイプもおすすめです。
なんと言っても話の流れがわかりやすい。

こちらを作る際は、論理構造をそのまま一本の流れとして紙面に落とし込むことになりますので、無駄のないスッキリとしたポスターになると思います。
比較的データが出揃っている場合は作りやすい形式だと思います。


他には、「いいからこれを見ろ」形式もあります。
とにかく見せたいデータをでかくして中央から上部の見やすいところにもっていくものです。
そのデータを中心に議論を組み立てます。
多分背景と目的くらいはその上に持ってきたほうがいいと思いますが。

いい結果が出たけどサポートするデータがまだあまりない、というときには使える形式かもしれません。
それこそ来た人と議論できるといいかもしれませんね。


ちなみにあまりよろしくない例としては縦二段組というか逆N字というかなレイアウトです。
下までいったあとに上まで戻ってこなければいけないのと、論理構造がわかりにくいからです。


ということでレイアウト例が長くなりましたが、次にやることとしては、自分のメッセージが言いやすいのはどういった形式かを考え、まず紙にだいたいどこに何を配置するかを書きます。
要するに下書きです。
先ほど決めた4つの内容を実際に紙面にどう表現するかを考えます。

ここで気をつけるのは、メッセージはきちんと伝わるのか、メッセージを伝えるために過不足がないか、その並べ方で論理構造が表現できるのか、というような点です。

詰め込み過ぎはよくありません。
多少余裕を持てるくらいの量にしましょう。
細かい点については補足データを当日持っていればよいのです、すっぱり切るところは切りましょう。


これができたらいよいよポスターを作っていきます。

ぶっちゃけあとは好みの世界なのでこれ以上は書きませんが、二つほど言いたいのは、「読ませる部分は28pt以上にしろ(A0ポスターでは)」と、「色の系統は黒含め3色に」です。

両方ともごちゃごちゃせずにスッキリさせるためのポイントです。

正直な話、下書き時点で大体の良し悪しが決まっているようなものなので仕上げだと思ってください。


レイアウトの話までするなら図を見せろと言われそうだなと思いつつ、備忘録だしいいやと思って書ききってしまいました。
ごちゃごちゃさせるなと言っておきながらごちゃごちゃした長文になってしまいました。

最後に一言でまとめると、「メッセージをきちんと決めて、それが伝わる過不足のないデータを並べ、スッキリとしたポスターを作りましょう」です。

少しでも参考になれば幸いです。